「外債投資、為替ヘッジはどうするべきか」というトウシルの記事に書かれていない対処法を書いておく
水瀬ケンイチ

トウシルに「外債投資、為替ヘッジはどうするべきか」という興味深記事が掲載されています。
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、要旨をむりやりまとめると、ドル円は購買力平価で見ると約40年ぶりの円安米ドル高で、貿易収支の赤字と日米金利差が要因。当面は外債投資の際には為替ヘッジは行わずに、外債の金利をフルに享受しても良いのではないか。将来的に為替ヘッジが必要な局面は、日本銀行がYCC政策を解除したりマイナス金利政策などの金融緩和を終了するケースや、FRBが利下げに動き、日米金利差が大きく縮小するケースであるとのこと。
例によって、 国際通貨研究所の購買力平価のグラフです。
これを見せられると誰だって「円安が行き過ぎだろう」と思ってしまいます。現在、実質的に株価要因ではなく為替要因で儲かっているだけの米国株投資家は多いと思います。
ただ、購買力平価は長期では使えるが短期では使えないといわれていることもあわせて知っておくべきだと思います。もうすぐ円高ドル安になると決めつけて、FXでレバ高めのドル売りポジションなど作ることはおすすめしません。
上記記事では、将来的に為替ヘッジが必要な局面として、日本銀行がYCC政策を解除するケース、マイナス金利政策などの金融緩和を終了するケース、FRBが利下げに動き日米金利差が大きく縮小するケースと、妙に具体的なケースをあげています。そして、そのいずれも、近々起こってもおかしくありません。
じゃあどうすりゃいいんだよ!?と言いたくなるかもしれませんが、為替予想など不可能と割り切ってしまえば、資産配分で対処できます。つまり、保有資産の株式と債券(キャッシュ)の比率、外貨資産の比率を、自分のリスク許容度(年間何%までの損失なら耐えられるか)の範囲内におさまるように調整するのです。
資産配分は自分のリスク許容度をベースに決めるものであり、短期的な株価予想や為替予想に基づいて決めるものではない。為替で損失を被ることがあるかもしれませんが、市場から退場せずに居続けることができれば、長期的には株式の力強い期待リターンを享受できましょう。
相場予想情報や短期的な損失は「ふーん」と受け流して、資産配分はあまりいじらずバイ&ホールドのスタンスでいたいと私は考えています。
※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。
- 関連記事
-
-
DIME(ダイム)にインデックスファンドの生みの親にしてバンガードの創始者ジョン・ボーグル氏について書かれた記事が掲載 2023/09/27
-
「投資信託で為替ヘッジなしを選ぶべきと言えるこれだけの理由」とは何か確認して自分の考えと比較する 2023/09/25
-
下げ相場で「おはぎゃああ!」「お金返して!」などと大騒ぎする「自称」コツコツ投資家へ 2023/09/25
-
新しいNISAをキッカケに新しい投資戦略をやってみようという勧めが危険な理由 2023/09/23
-
新しいNISAの成長投資枠対象投信1,616本中、2本だけを理由もなく突然詳しく説明されても…? 2023/09/18
-
積み立て投資をはじめてイライラしてしまう理由 2023/09/15
-