アクティブETFに山崎元氏は好意的。似たコンセプトの先行商品をチェックすると…
水瀬ケンイチ

2023年9月、初上場されたアクティブETFですが、会社四季報オンラインに、「新登場の「アクティブETF」には本当に投資してもいいのか」という山崎元氏の記事が掲載されています。
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、趣旨をむりやりまとめると、今後、冴えないテーマファンドがたくさん上場されるだろうが、アクティブETFにはアクティブ運用の信託報酬の引き下げと「インデックス運用の改善」(ほぼ指数連動ながら指数使用料が不要になりより低コストなもの)を期待するとのこと。
たいていの新商品には厳しい意見が多い山崎氏ですが、今後のアクティブETFについては意外にも好評価のようです。
上記記事にも出てくる「S&P499」(S&P500から1銘柄だけ抜いたもの)を自社で作り指数使用料を払わないファンドを運用するという話は、かつてS&P社の社員がいちばん恐れていたこととして、よく知られた話です。それをアクティブETFなら作れるのではないかということだと思います。
もともとインデックスファンドは、運用成果のうえで特定の「インデックス」にありがたみがあるのではなくて、「アクティブ運用の平均」に近いポートフォリオをじっと持って、余計なトレーディングコストを払わず、しかも低廉な運用手数料であることが有利の源泉なのだ。
(新登場の「アクティブETF」には本当に投資してもいいのか|会社四季報オンラインより)
実は似たようなコンセプトの商品が既に存在します。「SOMPO123 先進国株式」は先進国株式(除く日本)のインデックスであるMSCIコクサイ・インデックスから123銘柄だけ投資するアクティブファンドで、信託報酬は年0.077%と年0.1%を切る安さです。
2021年12月に登場した時はアクティブファンドなのに低コストであることが話題となり、その時も山崎氏は「ライバルの平均を低コストで持てるのは良い。アクティブ運用のビジネスモデルを変えるかもしれない」と評価していたのを覚えています。
インデックスファンドのコスト競争の主戦場が、日本株式+先進国株式+新興国株式の組み合わせから全世界株式1本に移ったこともあって、いまやSOMPO123 先進国株式はほとんど話題にあがらないファンドですが、その後の運用状況はどうなっているのか調べてみました。
「SOMPO123 先進国株式」と「eMAXIS Slim先進国株式」の比較

(Yahooファイナンスより引用)

(Yahooファイナンスより引用)
おおっ!?
なんと、青が「SOMPO123 先進国株式」で、ピンクが「eMAXIS Slim先進国株式」です。直近はSOMPO123の方がリターンが良いではないですか。
もちろん、約1年半だけのデータで今後どうなるかはわからないのですが、目下のところ、SOMPO123が目論見どおりに低コストなアクティブファンドとして健闘しているように見えます。
現在上場されているアクティブETFには興味がわきませんが、今後、アクティブETFでインデックスに近い運用をさらなる低コストで実現するものが出てくれば、「インデックス運用の改善」として期待がもてるかもしれませんね。
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