インデックスファンドの「総経費率」にすら含まれない費用がある理由がようやくわかった
水瀬ケンイチ

日本経済新聞に「インデックスファンドの総経費率、つみたてNISA対象」という記事が敬意されています。その中で、長らく疑問だったインデックスファンドの「総経費率」にすら含まれない費用がある理由が書かれていたので記録しておきます。
ファンドの総経費率とは実際の運用でかかったコストのことで、「信託報酬」と「その他費用」を合算したもの。
インデックスファンドでは激しい運用コスト競争で、信託報酬がどんどん引き下げられてきました。その結果、他社と差別化するためなのか、目論見書の作成費用や指数使用料などを信託報酬ではなく、その他費用に含めている運用会社が明らかになるなど、運用コストを信託報酬だけでは比較できなくなっていました。
そこで、運用会社は信託報酬だけではなく、その他経費も合算した総経費率で勝負しようという流れになっています。総経費率は変動するので事前には確定しておらず、決算を迎えてから運用報告書の中で開示されるものでした。これを、投資家がファンドを選びやすいように、来年2024年4月から目論見書にも掲載することが決まっています。先行して目論見書への掲載を既に始めている運用会社もあるようです。
ただ、この総経費率。運用報告書を見ればわかりますが、「原則として売買委託手数料を除く」というような但し書きが付いています。
「総」経費率なのに、なぜ除かれる費用がまだ残っているのか?
どうしたってそういう話になりますよね。理由がわからず、長らく疑問だったため複数の運用会社に確認したことがあります。結果は「投信協会が定めたルールどおりの表記をしている」「弊社で決めたことではないので回答できない」という形式的な回答ばかりでモヤモヤしていました。
しかし、上記の日経記事では、このように解説されていました。
総経費率は年率換算した概算値であり、組み入れ銘柄の売買時に発生する売買委託手数料などは含まない。インデックスファンドの運用を中心にして、銘柄の約定価格自体に売買手数料が上乗せされているバスケット取引が多用され、売買手数料を費用として切り分けることができない運用形態が増えてきたのが背景にある。
(インデックスファンドの総経費率、つみたてNISA対象 - 日本経済新聞より引用)
なるほど。銘柄の約定価格自体に売買手数料が上乗せされているバスケット取引が多用され、売買手数料を費用として切り分けることができなくなってきたということだったのか。スッキリ!
スッキリしましたが、じゃあいったい何を見てインデックスファンドを選べばいいの?という話になると思います。信託報酬でも総経費率でも捉えきれないコストの違いはどこに出てくるかというと、リターン実績に出てくると思われます。そうなると、インデックスファンドの比較は信託報酬、総経費率だけでなく、リターン実績も含めた複数の指標で見る必要がありそうです。
なお、当ブログでは定期的(現在は四半期ごと)に主要なインデックスファンドの比較を行っています。評価指標は信託報酬、実質コスト(この記事でいう総経費率)、インデックスとの差異、リターン実績(1年、3年、5年)という複数の指標です。
インデックスファンド選びのご参考にどうぞ。
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