日経「海外運用会社、個人投資家に無関心?かすむ資産運用立国」→かすんでいるのははたしてどっちかな?

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オルタナティブ(代替)投資に強い海外運用会社の訪日が相次いでいるそうです。


詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、要旨をむりやりまとめると、オルタナティブ投資に強い海外運用会社の訪日が相次いでいるが、手数料引き下げ競争が激しいパッシブファンドなど伝統資産の商品を一般の個人に売るよりも、代替投資のような機関投資家や富裕層相手の商売を優先しており、一般の個人が置き去りになっているとのこと。

一般の個人投資家として、置き去りというか、放っておいてもらってべつに何の問題もないと考えます。むしろ放っておいてほしい。

そもそも、オルタナティブ(代替)投資がそんなにすごいものなのか、データで見てみましょう。



上の図はオルタナティブ投資の代表格であるヘッジファンドについて、2003年3月から2021年12月のグローバルヘッジファンド指数(ヘッジファンド・リサーチ社が作成・公表する、ヘッジファンドの代表的な指数で世界のヘッジファンドのパフォーマンスを集計した値)および日経平均株価、NYダウの株価推移を示したものです。

ヘッジファンドは、平均的にはNYダウどころか日経平均すらはるかに下回るパフォーマンスしかあげていません。

上記の日経記事のタイトルに「かすむ資産運用立国」とありますが、訪日しているオルタナティブ投資に強いらしい海外運用会社のパフォーマンスの方こそ、かすんでいるのではないでしょうか。

「いや、ヘッジファンドは絶対収益(市場動向にかかわらず常にプラスの収益)を目指しているので高パフォーマンスを目指しているわけではない」という反論がすぐに出てきそうです。たしかにマイナスにならないことをことさら重視するなら、わからないでもありません。

しかし、投資にはハイリスク&ハイリターン、ローリスク&ローリターン(※)の原則があり、リスクを下げればリターンも下がります。それはパッシブファンドだろうがヘッジファンドだろうが、例外はありません。ヘッジファンドはリスクをヘッジして抑えているから、リターンも小さなものになるのは道理です。

それに、「絶対収益を目指すこと」と「絶対収益であること」は全くの別のことです。2008年リーマンショックの際には、絶対収益を目指しているはずのヘッジファンドが主要なすべての戦略(ロング・ショート、アービトラージ、マーケット・タイミング、レラティブ・バリュー、イベント・ドリブン、マーケット・ニュートラル、グローバル・マクロなど)でマイナスを記録していたこと、その理由が「お金を借りられないから」というしょぼくれた理由だったことを、私は忘れることはないでしょう。

ヘッジファンドに、パッシブファンドの数十倍もの高い手数料や更なる成功報酬を払ってまで、上記の図のパフォーマンス、ほしいですかね。私はべつにほしくないです。

マイナスになりにくいようにリスクを下げたいのなら、①投資金額自体を減らすか、②資産配分における国内債券の割合を上げるだけで済むことです。いずれにしても、コストはほとんどかかりません。

訪日された海外運用会社のお偉いさんには、日本のおいしいものでもたくさん飲み食いしていただき、楽しく過ごしてお引き取りいただけばよいと思います。

なお、上記記事の最後の方にちょこっと出てきた「米バンガードのように日本拠点を閉鎖した運用会社にヒアリングし、なぜ撤退したのか、何が課題なのかを洗い出すほうが重要だ」という意見には私も賛成です。

個人投資家としてはオルタナティブ投資の運用会社ではなく、バンガードに日本に帰ってきてほしいです。

※ ハイリスク&ハイリターン、ローリスク&ローリターンの原則は正しいのですが、世の中にはハイリスク&ローリターンというどうしようもない商品こそがいちばん多いという不都合な事実もあわせて覚えておくとよいでしょう。



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