❌公的年金額が2年連続で抑制 ⭕公的年金がたった2年だが本則どおり運用(過去20年は年金を払いすぎ)

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日本経済新聞に「年金額2年連続で抑制 24年度、0.4ポイント目減り試算」という記事が掲載されています。


詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、趣旨をむりやりまとめると、「公的年金額が2年連続で抑制される」とのこと。冒頭にこの記事のポイントが3点にまとめられています。

・2024年度の公的年金に「マクロ経済スライド」発動へ
・厚生年金のモデルケースでは年1万円強の実質減に
・給付抑制は物価上昇や賃金増で27年度まで続く見通し

「実質減」「給付抑制」と、公的年金が減るかのように強調されていますが、年金給付額は2年連続増加します。前年比 2.6% 増加です。くりかえしますが、年金給付額は前年比 2.6% 増加です。

ただ、増加の幅は 0.4% 抑制されています。これは、年金財政の安定のため、もっといえば、少子高齢化による現役世代の年金保険料担増に歯止めをかけるため、もう20年近く前に定められた「マクロ経済スライド」というルールの本則が正常に適用されたからです。具体的には、スライド調整率として 0.4% が差し引かれた後で、前年比 2.6% 増加となっています。

マクロ経済スライドとは、平成16年の年金制度改正で導入されたもので、賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです。将来の現役世代の負担が過重なものとならないよう、最終的な負担(保険料)の水準を定め、その中で保険料等の収入と年金給付等の支出の均衡が保たれるよう、時間をかけて緩やかに年金の給付水準を調整することになりました。

 具体的には、賃金や物価による改定率から、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」を差し引くことによって、年金の給付水準を調整します。
マクロ経済スライド|日本年金機構より)


しかしながら、これまで20年ほど、政府・与党はデフレだの特例だのと屁理屈をこねながら、結果的にマクロ経済スライドを実施しないことが多い(年金を払いすぎている)状態を続けていました。年金を受給している高齢者層は政府・与党の選挙における票田でもあることから、高齢者層にすり寄った甘々な特例運用を許してきたのだと思います。


一方、現役世代の年金保険料は段階的に引き上げられてきました。2004年は 13.934% だった厚生年金保険料は、毎年 0.354% ずつ引き上げられ、2017年には 18.3% になり固定されました。何の特例もなく、機械的に引き上げられました。


税金と社会保険料を合算した国民負担率は2023年度には 46.8% と過去最高水準で高止まりしています。稼いでも半分は国に持っていかれるようなもの。現役世代の「痛税感」も過去最大の状況です。

現役世代の年金保険料を上げるルールは無慈悲に実行されてきた一方、高齢者の年金給付額を抑制するルールはほとんど実行されてこなかった。「マクロ経済スライドが本則どおり2年連続運用されました」ということがニュースになること自体、本来おかしいのです。国としては世代間負担のバランスを欠いた恥ずべき事態だといえます。

つまり、実態はこうです。

❌ 公的年金額が2年連続で抑制
⭕ 公的年金がたった2年だが本則どおり運用(過去20年は年金を払いすぎ)

賃金・物価がようやく上がりはじめた今、国はこれまで払いすぎていた年金の帳尻を合わせるためにも、今後はマクロ経済スライドを本則に則ってしっかり実行してほしいと思います。

また、公的年金は現役世代が払っている保険料を、ほぼそのまま高齢者層の年金として給付する賦課方式です。「世代間の支え合い」と説明されるものです。高齢者が自分の現役時代に積み立てたお金を自分で引き出しているのではありません。いまの現役世代からお金をもらっているのです。

高齢者は現役世代に養ってもらっているのだから、ルールに則って給付される年金額に対して「実質減だ」「給付抑制だ」と文句ばかり言わず、現役世代に感謝して、給付される年金の範囲内で暮らすのが筋でしょう。

いずれ自分が高齢者になり年金を受給するようになっても、現役世代への感謝は忘れないようにしたいと思います。


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