投資は用語を大切に

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投資の世界は奥深く、ただでさえ様々な方法や考え方があるため、投資家同士で意見が合わないことも少なくありません。そんな中で、投資用語の誤用はさらに混乱を招き、コミュニケーションの妨げになります。

今回は、投資用語の誤用についていくつか例を挙げ、正しい用語をお伝えします。

私が実際に見てきた首を傾げる誤用例


❌️ 債権

正しくは「債券」。もちろん「債権」という言葉もありますが、「債権」は権利を指し、「債券」は有価証券のことを指します。投資の世界では国内債券、外国債券、債券ファンド、債券投資など「債券」を使用するシーンがほとんどです。逆に「債権」を使うシーンはほぼないといっていいでしょう。(特に、インデックス投資では使うことがない)

「債券」のことを「債権」と誤記している記事やレポートを見ると、その記事やレポート全体の信用度がガクンと低下します。「そんな基礎的な日本語すらまともに区別できない奴が、いくら投資について偉そうなことを書いても見るに値しない」と思われてしまいます。気をつけたいところ。

ふつうの暮らしをしている人であれば、公私ともに「債権」という用語を使うこと自体ほとんどないでしょう。間違えない人は一生間違えない。しかし、本業で会計とか契約関連のお仕事をされているかたは、権利や勘定科目として「債権」を日常的に使用する場合があるので、かえって間違いやすいのかもしれません。

しかし謎なのが、ひとつの記事の中に「債券」と「債権」(誤記)が混在している場合が少なくないことです。「債券」のことを「債権」と間違えるなら、全箇所「債権」と間違えるはずですが、ところどころ「債券」と正しく書き、ところどころ「債権」と間違えて書く人が少なくありません。「国内債券ファンドは○○で、外国債権ファンドは△△だ」のような調子です。これは本当に謎です。

なお、「債権」誤記については定番の「あるあるネタ」であり、SNSで間違えて投稿しようものなら、どこからともなく「債権警察」が現れて「それは債券の誤りでは?」というツッコミが入ったりします。気をつけましょう。

(参考:債券と債権の違いは|債券投資の基礎知識|iFinance

❌️ 基準価格

正しくは「基準価額」。新聞などで投資信託の価格の意味で使われる「基準価格」という用語は、実はマスコミの造語です。「価格」は英語で「Price」、価額は「Value」に相当し、それぞれ異なる意味を持っています。投資信託の目論見書や運用報告書で「基準価格」という用語を使用していることはおそらくないはずです。

投資信託だけ見ていると基準価額でも基準価格でもどっちでも困らないだろと思われるかもしれませんが、ETFには基準価額とは別に「市場価格」が存在するため、基準価額を「基準価格」と表現してしまうと、両方価格になってしまい用語で意味の違い(PriceとValue)を区別(説明)できなくなってしまい困るはずです。

以前、日本経済新聞社に上記の指摘をしたところ、基準価格は造語であることを認めたものの「わかりやすさを優先している」といって修正はしないとの回答でした。後年、新聞紙面にETFの基準価額と市場価格の乖離についての記事が出ていたことがあり、「おっ、日経どう説明する?」と期待をもって熟読したところ、その時だけは基準価格ではなく「基準価額」とちゃんと書きわけていました。なんだかなぁ。

(参考:基準価額 用語集 - 投資信託協会

❌️ 市場を「いちば」と読む・読ませる

投資の現場では「市場」は「しじょう」と読みます。「いちば」は「場所」を言い表す場合、「しじょう」は「経済的な機能」を言い表す場合に使います。「株式市場」「為替市場」「東証プライム市場」「市場価格」など、様々な場面で「市場」という言葉が使われますが、いずれも「しじょう」と読みます。

あるFPさんが市場をあえて「いちば」と読ませる本やコラムを書いています。投資未経験者に親近感を持ってもらうためだと思われ、試みとしては共感できますが、読者は他人にも通じると思って「株式いちば」「為替いちば」などと発音していると話が通じないばかりか、恥をかきます。正しくない読み方ははやめに卒業しましょう。

(参考:「市場」の読み方、「イチバ」と「シジョー」の使い分けは? | ことば(放送用語) - 放送現場の疑問・視聴者の疑問 | NHK放送文化研究所

❌️ ドルコスト法

正しくは「ドルコスト平均法」。「ドル」部分は特に意味を持たず、円やユーロなど、投資する通貨に置き換えることができます。実際、大昔の投資本でドルコスト平均法(dollar cost averaging)を「円のコスト平均法」と翻訳している本を持っています。「コスト平均」部分が「定額積み立て」という投資方法を表しているので、意味的には通じます。どうしても省略したいなら、「ドルコスト法」ではなく「コスト平均法」の方がまだマシだと私は思います。(それは見たことありませんが…)

ドルコスト平均法のことをいつも「ドルコスト法」と言うブロガーさんがいます。どうしても「平均」は省略しないと気が済まない人なのかな?と思って見ていましたが、類似の積み立て投資方法である「バリュー平均法」(バリューパスと呼ばれる想定リターンに合わせて積み立てる投資方法)のことは「バリュー法」とは言わずちゃんと「平均」を付けて「バリュー平均法」と語っていました。なぜなのか。

(参考:ドルコスト平均法 用語集 - 投資信託協会

❌️ 「投資」は良いが「資産運用」は良くない

意味不明。投資は「Investment」、資産運用は「Asset Management」でそれぞれ別の意味であり、そこに良し悪しはありません。資産運用に投資が包含されるとする定義もあります。

最初に見た時は戸惑いましたが、「投資には意志があるが資産運用は機械的なものだ」という独自の意味付けを勝手にしているようでした。独自の意味付けを前提に、投資をすすめながら資産運用を否定するという謎理論を10年以上こねている人を知っていますが、はた迷惑です。

正しい用語で投資に臨みましょう


投資用語の誤用は、他人との間に無用な誤解を生むだけでなく、投資判断の誤りにもつながりかねません。投資を成功させるためには、正しい用語を身につけ、情報収集・情報交換することをおすすめします。

投資は用語を大切に。
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