銀行で投資する人って、投資の勉強しているんですか?(後編)
水瀬ケンイチ
前回の記事、「2005.11.15 銀行で投資する人って、投資の勉強しているんですか?(前編)」の続きです。
前回は、銀行で投資信託を購入する経済的合理性はないので、何となく銀行で投資を始めてしまった方、これから投資を始めようという方は、購入金融機関について十分に比較検討されることをおすすめします、という話でした。
今回は、投資信託に引き続き、銀行のもうひとつの人気商品、外貨預金についての話です。
1998年に個人の外貨投資が解禁されて以来、外貨投資と言えば「銀行で外貨預金」みたいなイメージがあります。僕自身、投資を始めるまではそう思っておりました。前回のNIKKEI NET引用記事を見ても、銀行で外貨預金をされている中高年の方が増えていると思われます。
しかし、今や外貨投資の商品は、「外貨預金」以外にも、「外貨建てMMF」「外国為替証拠金取引(FX)」の計3種類があるのです。そして、例によってこの3つを比較検討してみると、明らかに商品設計に優劣があるということが分かります。

以下、3商品の比較検討を、実際の事例をもとに説明したいと思います。
前回は、銀行で投資信託を購入する経済的合理性はないので、何となく銀行で投資を始めてしまった方、これから投資を始めようという方は、購入金融機関について十分に比較検討されることをおすすめします、という話でした。
今回は、投資信託に引き続き、銀行のもうひとつの人気商品、外貨預金についての話です。
1998年に個人の外貨投資が解禁されて以来、外貨投資と言えば「銀行で外貨預金」みたいなイメージがあります。僕自身、投資を始めるまではそう思っておりました。前回のNIKKEI NET引用記事を見ても、銀行で外貨預金をされている中高年の方が増えていると思われます。
しかし、今や外貨投資の商品は、「外貨預金」以外にも、「外貨建てMMF」「外国為替証拠金取引(FX)」の計3種類があるのです。そして、例によってこの3つを比較検討してみると、明らかに商品設計に優劣があるということが分かります。

以下、3商品の比較検討を、実際の事例をもとに説明したいと思います。
まず、利息については、現状、外貨預金が一番低水準で不利です。
実際の事例で比較してみたいと思います。本日(2005.11.16)現在、1$=119円で、1万ドル(119万円)を1年間投資するとして、利回りを計算すると、以下のとおりです。(単純化するため、金利は1年間変わらないと仮定します。実際はあり得ませんが…)
東京三菱銀行の外貨預金(1年):年利2.96%
マネックス・ビーンズ証券の米ドル建てMMF:年利3.196%
マネックス・ビーンズ証券の外国為替証拠金取引(FX):年利4.02%
(FXはレバレッジがほぼ1倍になるように証拠金を119万円用意。スワップポイント131円として計算)
利息が少ない外貨預金。利息の差額分は投資家でなく銀行の懐に入っているのです。にもかかわらず、外貨預金をしなくてはいけない経済的合理性は、いったいどこにあるのでしょうか?
次に、為替手数料についても、外貨預金が一番高くて不利です。
実際の事例で比較してみたいと思います。1$購入するのにかかる片道の手数料です。ちなみに、売る際にも、もう一度この手数料がかかります。
東京三菱銀行の外貨預金(1年):為替手数料 1円
マネックス・ビーンズ証券の米ドル建てMMF:為替手数料 0.25円(上記表では0.5円となっておりますがココが他より多少安い)
マネックス・ビーンズ証券の外国為替証拠金取引(FX):為替手数料 0.1円
手数料が米ドル建てMMFの4倍、外国為替証拠金取引(FX)の10倍も高い。にもかかわらず、外貨預金をしなくてはいけない経済的合理性は、いったいどこにあるのでしょうか?
最後に税金ですが、これはなんと言っても、外貨建てMMFの為替差益にかかる税金「非課税」が光ります!外貨預金と外国為替証拠金取引(FX)は課税されますので不利です。にもかかわらず、外貨預金をしなくてはいけない経済的合理性は、いったいどこにあるのでしょうか?
なんだかボロボロの外貨預金ですが、何かひとつくらいメリットはないのかよ…と思い調べてみると、ありました。外貨預金は、外貨のまま引き出すことが出来ます(もちろん所定の手数料がかかりますが)。外貨のまま引き出せるというメリットが、上記のデメリットを補って余りあると考えられるかどうかは数字では表せない価値観の問題で、人によるのだと思います。少なくとも僕の目にはメリットと映りません。
このように、銀行の外貨預金は、他の外貨投資商品と比べて、商品設計が劣っています。これに投資する経済的合理性はほとんどありません。外貨建てMMFと外国為替証拠金取引(FX)のどちらかにするのかは、悩ましいところです。FXの高いスワップポイントも魅力ですが、外貨建てMMFの為替差益非課税という特典も魅力です。どちらにしても、銀行の外貨預金という選択はあり得ません。
前編の投資信託の例も踏まえ、銀行は投資を行う金融機関としては失格と言わざるを得ません。繰り返しになりますが、何となく銀行で投資を始めてしまった方、これから投資を始めようという方は、金融機関について十分に比較検討されることをおすすめします。その際は、ネット証券会社を比較検討対象に加えるのを忘れないでください。
<参考>
今回取り上げたネット証券会社は以下から口座開設できます。
(会社名をクリックしてください)
・マネックス・ビーンズ証券
実際の事例で比較してみたいと思います。本日(2005.11.16)現在、1$=119円で、1万ドル(119万円)を1年間投資するとして、利回りを計算すると、以下のとおりです。(単純化するため、金利は1年間変わらないと仮定します。実際はあり得ませんが…)
東京三菱銀行の外貨預金(1年):年利2.96%
マネックス・ビーンズ証券の米ドル建てMMF:年利3.196%
マネックス・ビーンズ証券の外国為替証拠金取引(FX):年利4.02%
(FXはレバレッジがほぼ1倍になるように証拠金を119万円用意。スワップポイント131円として計算)
利息が少ない外貨預金。利息の差額分は投資家でなく銀行の懐に入っているのです。にもかかわらず、外貨預金をしなくてはいけない経済的合理性は、いったいどこにあるのでしょうか?
次に、為替手数料についても、外貨預金が一番高くて不利です。
実際の事例で比較してみたいと思います。1$購入するのにかかる片道の手数料です。ちなみに、売る際にも、もう一度この手数料がかかります。
東京三菱銀行の外貨預金(1年):為替手数料 1円
マネックス・ビーンズ証券の米ドル建てMMF:為替手数料 0.25円(上記表では0.5円となっておりますがココが他より多少安い)
マネックス・ビーンズ証券の外国為替証拠金取引(FX):為替手数料 0.1円
手数料が米ドル建てMMFの4倍、外国為替証拠金取引(FX)の10倍も高い。にもかかわらず、外貨預金をしなくてはいけない経済的合理性は、いったいどこにあるのでしょうか?
最後に税金ですが、これはなんと言っても、外貨建てMMFの為替差益にかかる税金「非課税」が光ります!外貨預金と外国為替証拠金取引(FX)は課税されますので不利です。にもかかわらず、外貨預金をしなくてはいけない経済的合理性は、いったいどこにあるのでしょうか?
なんだかボロボロの外貨預金ですが、何かひとつくらいメリットはないのかよ…と思い調べてみると、ありました。外貨預金は、外貨のまま引き出すことが出来ます(もちろん所定の手数料がかかりますが)。外貨のまま引き出せるというメリットが、上記のデメリットを補って余りあると考えられるかどうかは数字では表せない価値観の問題で、人によるのだと思います。少なくとも僕の目にはメリットと映りません。
このように、銀行の外貨預金は、他の外貨投資商品と比べて、商品設計が劣っています。これに投資する経済的合理性はほとんどありません。外貨建てMMFと外国為替証拠金取引(FX)のどちらかにするのかは、悩ましいところです。FXの高いスワップポイントも魅力ですが、外貨建てMMFの為替差益非課税という特典も魅力です。どちらにしても、銀行の外貨預金という選択はあり得ません。
前編の投資信託の例も踏まえ、銀行は投資を行う金融機関としては失格と言わざるを得ません。繰り返しになりますが、何となく銀行で投資を始めてしまった方、これから投資を始めようという方は、金融機関について十分に比較検討されることをおすすめします。その際は、ネット証券会社を比較検討対象に加えるのを忘れないでください。
<参考>
今回取り上げたネット証券会社は以下から口座開設できます。
(会社名をクリックしてください)
・マネックス・ビーンズ証券

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