日本のETF事情がよくまとまっている記事と個人的感想 (その1)
水瀬ケンイチ
記事の紹介と、個人的感想を書いてみたいと思います。
(出典) ロイター 2008/04/04
相次ぐETF上場で投資家の選択肢拡大、残高増には時間必要の見方
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-31164120080404
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200804040110.html
長文記事なので、いくつかのパラグラフに分けて引用し、コメントを書きたいと思います。
上場投資信託(ETF)の品揃えが拡大している。3月だけで21本のETFが東京証券取引所に上場したほか、先週には東証の斉藤惇社長が今後3年でETFを3倍に増やす計画を発表しており、機関投資家や個人投資家にとって分散投資の選択肢が広がりそうだ。
一般的な投信に比べ低コストでリアルタイムの売買が可能なETFは欧米で急成長しており、日本でも拡大余地は大きいとみられる。ただ、機関投資家を呼び込むには「流動性の確保が課題」(邦銀)との声や「銀行の窓販解禁を機に個人投資家に急速に浸透した公募投信のような爆発的成長は期待できない」(投信コンサルタントの田村威氏)との指摘もあり、残高の拡大にはなお時間がかかるとの見方が多い。
「選択肢は拡大するが残高増には時間がかかる」という結論には、きっとそうだろうな~と概ね賛同します(残念ながら)。
ただ、金やら韓国やら日本の業種別ETFなど、ニッチなETFしか用意していないくせに、「流動性の確保が課題」などともっともらしく困り顔をするのは、金融業界としてどうかと思います。
投資家の資産運用のコアとなり得るスタンダードなETFを揃えないうちは、ETFの流動性云々を言うのは早過ぎるような気がします。
<ETF多様化への流れ>
東証と大阪証券取引所に上場している国内ETFは合計40本。規制緩和などを背景に07年度に25本増加した。昨年から取り組みを強化している野村アセットマネジメントが3月に、東証株価指数を業種別に分けたTOPIX─17株価指数に連動するETFを一挙に17本上場したほか、日興アセットマネジメントが3月だけで4本のETFを上場し、足元でラインアップが急速に広がっている。
今月も日興アセットが中国A株市場連動型ETFを上場するほか、大和証券投資信託委託も「 TOPIX─17連動型を含め様々なETFの設定を検討している」(広報担当者)。さらに、米ステート・ストリートが金価格連動型ETFを、仏アクサ・インベストメント・マネジャーズが商品連動型のETFを東証に上場する準備を進めている。金融庁は昨年末に発表した「金融・資本市場競争力強化プラン」でETFの多様化に向けた法整備を進める方針を示しており、「今後は海外株価指数に連動するタイプが増え、債券や商品に連動するETFも登場することが期待される」(松尾琢己・東証上場部商品企画担当課長)という。
はい。これが水瀬が常々ぼやいている、
「トラックとスポーツカーしかないのに、トラックとスポーツカーのバリエーションをじゃんじゃん増やそうと躍起になっている」
現状です。よく表していると思います。
いま本当に求められているのは、ETFの本数やニッチなものの多様化ではないと思います。
まずは、カローラやシビックなどの大衆車=投資家の資産運用のコアとなり得るスタンダードなETFをそろえるべきだと思います。
業種別ETFやら商品連動型ETFやらを、運用のコアにしている公的年金や企業年金があったら、教えてほしいくらいです。
(実際には、世界各国の公的年金のアセットアロケーションを見ると、国内外の株式・債券がコアになっています。出典:「大人の投資入門」北村慶著)
(次回に続く)
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