ゴールデンウィーク早期リタイア考(その3) リタイアの先輩、女性に学ぶ
水瀬ケンイチ
突然ですが、男性は女性よりもはやく死にます。
世界保健機関(WHO)の世界保健報告2006年度版によると、日本人の平均寿命は、男性79歳、女性86歳(ちなみに世界一!)と女性のほうが7歳も長生きです。
うちも、僕より相方のほうがきっと長生きすることでしょう。
ゆえに、「リタイア生活」が長いのは男性よりも女性であると言えます。
ということは、女性向けの本になにか早期リタイアの鍵が隠されているのではないか?
なんて安易な発想から、女性向けの生き方に関する本を、ゴールデンウィークにまとめて乱読してみました。
以降、読んだ本のなかで、「早期リタイア的観点」からヒントがあると思われた本について、コメントを書いておきたいと思います。
(なお、今回はかなりの長文です。申し訳ありません)
この本は、シングル女性のお金の悩みに、ファイナンシャルプランナー(FP)である筆者が一問一答形式で答えていくという内容です。
のっけから、シングル女性からの「ひとりの老後(55歳で退職)に向けていくらためておけばいいですか?」という早期リタイアに関する問答から始まります。
このケースでは、相談者は48歳ひとり暮らし、税込年収700万円、1ヶ月の支出30万円、貯蓄額300万円、住まい自宅マンション、ローン残高600万円という家計条件でした。
老後の収入と支出をシミュレーションした結果、筆者の回答は、「生活費を1割絞れば55歳で退職できる」でした。
退職金、厚生年金、企業年金等詳しい計算は本書をご覧いただきたいと思いますが、シングル女性の早期リタイアの相談にFPが答える時代になったという現実と、早期リタイア可能という回答に、パンチ一発もらった気分です。
それから、「住宅を買うべきか、賃貸生活を続けるかで悩んでいます」という住宅問題に対しては、「金銭的な損得だけなら購入した方がトク」と回答されています。
これには「おや?」と思いました。インデックス投資家におなじみの橘玲氏や山崎元氏の著作では、賃貸のほうに軍配が上がることが多いからです。
これは、計算が長寿の女性を前提に導き出されているからだと思われます。女性は、賃貸と持ち家の損益分岐点後の人生が長いのです。いいなぁ、女の人は(笑)。
うちの場合、シングルではなくいちおう夫婦なので、僕が死んだ後も相方はどこかに住まなくてはいけません。そう考えると、今は早期リタイア後も賃貸派の僕ですが、中古マンション購入等も検討に入れる必要があるかもしれないなと気付きをもらいました。
この本は、年収200万円で幸せな人生が送れる生き方について、たくさんのシングル女性の取材実例をもとに書かれた本です。
早期リタイア後の充実した生活に関して、参考になったキーワードがいくつかあったので書いておきます。
早期リタイア後は収入がなくなるので、節制した生活を送ることの重要性が、働いている時以上に高まると思っています。
その際の考え方と工夫を、諸先輩がたの実例から、知ることができました。
この本はジェンダー研究の社会学者である筆者が、歯に衣着せぬ言葉で、シングル女性の老後についてバッサリ斬った本です。
「誰とどう付き合うか」とか「どんな介護を受けるか」とか「どんなふうに「終わる」か」など、シングル女性の老後の実態が赤裸々に語られていてへぇ~へぇ~の連続なのですが、早期リタイアの観点で見ると、「年金プラスアルファのゆとり」の作り方が参考になりました。
個人年金のコストには十分注意を払う必要があると思いますが、実際問題として、株式・債券のポートフォリオからのインカムゲインは不安定であり、将来的には個人年金も検討項目のひとつではあると思います。
僕のバイブル、「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)でも、「老後のための蓄えのある部分(あくまで一部ですが)を、退職時に年金化することはいいことだ。年金化は生きている限り何がしかの受け取りを確保する唯一の手段なのだ」と言っています。
まあ、日本では今のところロクな商品がないので、将来、低コストな年金商品が出ることを期待してます。
全体をとおして、女性ならではの、「肝の据わった」生き方の情報から、早期リタイアのヒントをいくつか得ることができました。
他にも何冊か読んだのですが、これ以上長くなるのもあれですし、気分的な話が多かったので、こんなところで。(もちろん、本来は気分の問題も重要です。念のため^^)
早期リタイア的観点で読んだので、本来の目的ではない読まれ方なのかもしれませんが、そこは筆者さんたちにはご勘弁いただきたいです。
<お願い>
早期リタイアの是非については、賛否両論あろうかと思いますが、いち個人の戯言だと思って、ご笑覧いただければ幸いです。
世界保健機関(WHO)の世界保健報告2006年度版によると、日本人の平均寿命は、男性79歳、女性86歳(ちなみに世界一!)と女性のほうが7歳も長生きです。
うちも、僕より相方のほうがきっと長生きすることでしょう。
ゆえに、「リタイア生活」が長いのは男性よりも女性であると言えます。
ということは、女性向けの本になにか早期リタイアの鍵が隠されているのではないか?
なんて安易な発想から、女性向けの生き方に関する本を、ゴールデンウィークにまとめて乱読してみました。
以降、読んだ本のなかで、「早期リタイア的観点」からヒントがあると思われた本について、コメントを書いておきたいと思います。
(なお、今回はかなりの長文です。申し訳ありません)
この本は、シングル女性のお金の悩みに、ファイナンシャルプランナー(FP)である筆者が一問一答形式で答えていくという内容です。
のっけから、シングル女性からの「ひとりの老後(55歳で退職)に向けていくらためておけばいいですか?」という早期リタイアに関する問答から始まります。
このケースでは、相談者は48歳ひとり暮らし、税込年収700万円、1ヶ月の支出30万円、貯蓄額300万円、住まい自宅マンション、ローン残高600万円という家計条件でした。
老後の収入と支出をシミュレーションした結果、筆者の回答は、「生活費を1割絞れば55歳で退職できる」でした。
退職金、厚生年金、企業年金等詳しい計算は本書をご覧いただきたいと思いますが、シングル女性の早期リタイアの相談にFPが答える時代になったという現実と、早期リタイア可能という回答に、パンチ一発もらった気分です。
それから、「住宅を買うべきか、賃貸生活を続けるかで悩んでいます」という住宅問題に対しては、「金銭的な損得だけなら購入した方がトク」と回答されています。
これには「おや?」と思いました。インデックス投資家におなじみの橘玲氏や山崎元氏の著作では、賃貸のほうに軍配が上がることが多いからです。
これは、計算が長寿の女性を前提に導き出されているからだと思われます。女性は、賃貸と持ち家の損益分岐点後の人生が長いのです。いいなぁ、女の人は(笑)。
うちの場合、シングルではなくいちおう夫婦なので、僕が死んだ後も相方はどこかに住まなくてはいけません。そう考えると、今は早期リタイア後も賃貸派の僕ですが、中古マンション購入等も検討に入れる必要があるかもしれないなと気付きをもらいました。
この本は、年収200万円で幸せな人生が送れる生き方について、たくさんのシングル女性の取材実例をもとに書かれた本です。
早期リタイア後の充実した生活に関して、参考になったキーワードがいくつかあったので書いておきます。
- 確かにお金は大事だ。しかし、お金がそんなになくても決してみじめではない。みじめなのは、お金がないということではなく、「お金がないとみじめだ」と思うその考え方ではないだろうか。
- 「定年なんてずいぶん先のことだと思っているでしょうけど、女性は定年まで勤められるとは限らないわ。53歳で仕事を失うつもりで人生計画を立てるべきだと思う」その言葉の裏には、彼女の経験があった。
- 「北海道なら月10万円で暮らせるわ」
- わたしのまわりのシングル女性を見ていると、安心の金額を、自分の持ち家と現金2000万円にしている人が多い。
- お金のことや将来の不安に悩まされずに生きるコツ。それは、「ひとり」を意識し、「ひとり」の覚悟を持つこと。
早期リタイア後は収入がなくなるので、節制した生活を送ることの重要性が、働いている時以上に高まると思っています。
その際の考え方と工夫を、諸先輩がたの実例から、知ることができました。
この本はジェンダー研究の社会学者である筆者が、歯に衣着せぬ言葉で、シングル女性の老後についてバッサリ斬った本です。
「誰とどう付き合うか」とか「どんな介護を受けるか」とか「どんなふうに「終わる」か」など、シングル女性の老後の実態が赤裸々に語られていてへぇ~へぇ~の連続なのですが、早期リタイアの観点で見ると、「年金プラスアルファのゆとり」の作り方が参考になりました。
- 自分で事業をはじめてもよい。他人に雇われるから性や年齢の差別を受ける。自分が起業したり個人事業主なら誰の顔色も見なくてすむ。
- 地域の人たちのための共有スペースを作って、貸しギャラリーをはじめたNPOは、評判がよくて1年先まで予約が入る収益事業になった。
- 自分の持ち家を、自分が住んだまま担保にして借金できるしくみが、リバースモーゲージである。(中略)子孫に美田は残さないと割りきななければ、おひとりさまの老後はしのげない。
- 公的年金に不足があれば、それに個人年金を積み増せばよい。個人年金にはいろいろな種類がある。これも金融資産というストックのフロー化のひとつの方法だ。
個人年金のコストには十分注意を払う必要があると思いますが、実際問題として、株式・債券のポートフォリオからのインカムゲインは不安定であり、将来的には個人年金も検討項目のひとつではあると思います。
僕のバイブル、「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)でも、「老後のための蓄えのある部分(あくまで一部ですが)を、退職時に年金化することはいいことだ。年金化は生きている限り何がしかの受け取りを確保する唯一の手段なのだ」と言っています。
まあ、日本では今のところロクな商品がないので、将来、低コストな年金商品が出ることを期待してます。
全体をとおして、女性ならではの、「肝の据わった」生き方の情報から、早期リタイアのヒントをいくつか得ることができました。
他にも何冊か読んだのですが、これ以上長くなるのもあれですし、気分的な話が多かったので、こんなところで。(もちろん、本来は気分の問題も重要です。念のため^^)
早期リタイア的観点で読んだので、本来の目的ではない読まれ方なのかもしれませんが、そこは筆者さんたちにはご勘弁いただきたいです。
<お願い>
早期リタイアの是非については、賛否両論あろうかと思いますが、いち個人の戯言だと思って、ご笑覧いただければ幸いです。
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