年金運用でもアクティブ運用はインデックス運用に負けている

水瀬ケンイチ

年金運用でもアクティブ運用はインデックス運用に負けているそうです。

YOMIURI ONLINE 山崎流マネーここに注目 「公的年金巨額損失のニュースの小さな見どころ」(7月11日)から引用します。

【引用はじめ】
 GPIFは、日本株でも外国株でも、パッシブ運用(ベンチマークの収益率を複製しようとする運用)とアクティブ運用(ベンチマークの収益率を上回ろうとする運用)の2通りの運用を行っているが、それぞれの運用結果とベンチマーク収益率との比較が面白い。

 ベンチマークとの勝ち負け(収益率の差)で紹介する。国内株式では、パッシブ運用が+0.12%、アクティブ運用が-0.04%、外国株式は、パッシブ運用が-0.05%、アクティブ運用は何と-1.39%だ。アクティブ運用が、「ベンチマークの収益率を上回ることを目標に」という建前通りに機能しているわけではないことが分かる。

 国内株はパッシブ、アクティブ共に誤差の範囲かもしれないが、それでもアクティブ運用が負けている。外国株式のアクティブ運用のマイナスは、かなり大きい。元同業者(筆者はかつて運用会社に勤めていた)の情けで、運用会社の名前は出さないが、GPIFの外国株アクティブ運用を受託している会社は12社あり、そのうちの10社がベンチマークに負けた。また、12社中9社は外資系の(いずれも大手で有名な)運用会社だった(ご興味のある方は、GPIFのホームページで資料をダウンロードしてご確認ください)。

 個人投資家に、「有名な運用会社のアクティブ運用でもなかなかうまくいかないのだから、手数料(信託報酬)の安いインデックス運用のETF(上場型投資信託)でいいではないですか」と言いたくなるような、GPIFの前年度の運用実績データだった。もっとも、教訓としては有意義なのだが、国民としては授業料が高いと言わざるを得ない。
【引用おわり】

うーん、1年分のデータとはいえ、かなり興味深いです。
(後ろの追記で過去にさかのぼって検証しています)
山崎氏が取り上げている、パッシブ運用とアクティブ運用の運用結果とベンチマーク収益率との比較データは、GPIFの資料「平成19年度業務概況書」の74~79ページに出ています。

また、山崎氏が元同業者の情けで名前は出さないと言っている、ベンチマークに負けた外国株アクティブ運用受託会社10社については、96ページに出ています。
僕には何のしがらみもないし(笑)、そもそも僕たちの年金を預かる公的機関の公開情報なので、ダメな順に名前を出してしまいましょう。
※カッコ内はベンチマークからの乖離率(要するに負けっぷり)

ユービーエス・グローバル・アセット・マネジメント (-4.16%)
ウエリントン・インターナショナル・マネージメント・カンパニー・ピーティーイー・リミテッド (-3.12%)
アライアンス・バーンスタイン (-2.98%)
キャピタル・インターナショナル (-2.31%)
みずほ信託銀行 (-1.80%)
野村アセットマネジメント (-1.25%)
DIAMアセットマネジメント (-1.07%)
バークレイズ・グローバル・インベスターズ (-0.88%)
シュローダー証券投信投資顧問 (-0.61%)
ステート・ストリート投信投資顧問 (-0.06%)

ここからベンチマークに勝った、勝ち組です。

ソシエテジェネラルアセットマネジメント (0.06%)
MFSインベストメント・マネジメント (2.97%)

以上です。
外国株式クラスの運用受託会社なのに、外資系運用会社のダメっぷりが目立ちます。
僕たちの大切な年金を預ける人たちです。
ベンチマークを上回りさえすればマイナスのパフォーマンスでもいいのかという議論はあろうかと思いますが、少なくとも、ベンチマークを上回ることすらできないアクティブ運用会社は雇う価値がないと言って差し支えないと思います。
さっさとご退場いただき、インデックス運用に切り替えてほしいものです。

まあ、全体的に見れば、相場が軟調で、年金も僕も運用成績は思わしくありません。
こういう時こそ、「プロによる運用」で損失を回避してほしいと期待してしまいがちですが、現実は期待どおりにはなっていないようです。

プロに期待などせず、愚直にインデックス投資を継続したいと思います。


(追記)
1年分のデータだけじゃ不公平かと思い、外国株式クラスのパッシブ運用とアクティブ運用のベンチマーク超過収益率のデータを、過去にさかのぼって調べてみました。

平成19年度 アクティブ運用-1.39% パッシブ運用-0.05%
平成18年度 アクティブ運用-1.14% パッシブ運用-0.15%
平成17年度 アクティブ運用-1.06% パッシブ運用-0.14%
平成16年度 アクティブ運用-0.77% パッシブ運用-0.17%
平成15年度 アクティブ運用-2.87% パッシブ運用-0.42%

過去5年分を見てみましたが、アクティブ運用はパッシブ運用に全敗です。
データは残酷ですね。



(ご注意)
本記事は水瀬の個人的考えです。投資判断は自己責任でお願いします。
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