インデックス投資ナイト実況レポート(その1)
水瀬ケンイチ
1月10日に行なわれたイベント、「インデックス投資ナイト」。
120名以上の参加者の熱気で、おおいに盛り上がりました。
個人的にいちばん面白かった第1部の座談会について、水瀬が全力でライブレポートいたします。
単なる紹介だけでなく、随所に水瀬の個人的見解も織り交ぜさせていただきます。
内容についてはできる限り正確を期しておりますが、水瀬の主観による省略やまとめが含まれますことをご了承ください。
なお、掲載内容に問題がありました場合、お手数をおかけして恐縮ですがご連絡ください。できる限り速やかに対応させていただきます。
それではいってみましょう!(長文失礼)
120名以上の参加者の熱気で、おおいに盛り上がりました。
個人的にいちばん面白かった第1部の座談会について、水瀬が全力でライブレポートいたします。
単なる紹介だけでなく、随所に水瀬の個人的見解も織り交ぜさせていただきます。
内容についてはできる限り正確を期しておりますが、水瀬の主観による省略やまとめが含まれますことをご了承ください。
なお、掲載内容に問題がありました場合、お手数をおかけして恐縮ですがご連絡ください。できる限り速やかに対応させていただきます。
それではいってみましょう!(長文失礼)
まず、主催者えんどうやすゆき氏による挨拶に続き、出演者登場。大拍手。
えんどうやすゆき氏
「今夜のルール。お酒を飲みながら気楽にやること。壇上からマイクで注文してください(笑)。会場の方も発言はいつでもOK、挙手を。出演者は結論を先に理由を後に。できれば本を読めば書いてあることではなく、ここでなければ聞けない話をお願いしたい。会場の皆さん、自分はインデックス投資家だと思うかたは挙手を(6~7割くらいが挙手)。インデックス投資はしていないが興味があるから来たというかた(2割くらいが挙手)。他の投資をやっているかた(1~2割くらいが挙手)。意外とインデックス投資家が多くて驚いた」
(水瀬コメント:こんなにインデックス投資家をこの目で見たのは初めて。なんだか感動的でした)
「それではまずはじめに、“インデックス投資が他の投資法とどう違うか”についてお聞きしたい」
カン・チュンド氏
「これは明朗だ。まずやることがない。金融商品を買ってしまうとあとは何もすることがない。非常に退屈かつシンプルな投資法。ドキドキやワクワクを求めるかたにとっては面白くない」
えんどう氏
「えーと…」
内藤忍氏
「お酒がないと盛り上がらないみたいで。頼んでたジントニックまだですかね(笑)」
イーノ・ジュンイチ氏
「だれかに補足してもらうといいのでは」
竹川美奈子氏
「山崎さんが既にホームページでアップしていたので聞きたい」
山崎元氏
「端的に言って、手数料が安いこと。はっきり言うと、アクティブ運用の手数料が高すぎる。(会場拍手)インデックス運用が特別に特に素晴らしいということはないが、アクティブ運用の手数料があまりにも高すぎる。ファンドマネージャーとして考えると、インデックス運用というのは手間がかかるものだが、アクティブ運用会社はあたかも自分達の運用がありがたいものであるかのように振る舞って金を取っている。その余計な金が節約できるのがいいところではないか」
(水瀬コメント:のっけから山崎節全開!今夜は楽しめそうです)
イーノ・ジュンイチ氏
「今、山崎さんが言った実はインデックス運用のほうが手間がかかるというのは?」
山崎元氏
「まず銘柄数がものすごく多い。それを発注する手間、価格を計算する手間、配当再投資の手間。アクティブ運用の場合は、銘柄数はファンドマネージャーが適当に決めることができる。そんなにたいした内容の運用をしているわけではないわけだが、アナリストだとか社長だとか専務だとか親会社から天下ってきたやつなんかを含めて食わしていかなければいけないし、そういうフィーがたっぷり乗っている。ただ、まじめなアクティブ運用、ローコストなアクティブファンドが出てくれば、一口馬主的に投資するのはいいのではないか」
(水瀬コメント:教科書的には、インデックスファンドは運用が機械的で手間がかからないからコストが安いという説明が多いですが、実際の運用ではそうでもないようです。意外と知られていない実情かもしれません。ただし、これはインデックスファンドの場合でありETFはまた別だと思われます)
えんどやすゆき氏
「今日は運用会社さんも来られていると思うが…」(会場笑い)
イーノ・ジュンイチ氏
「内藤さんも運用する側?」
内藤忍氏
「教育させていただく側。たしかに、インデックス投資は積極的なものというより、他よりもマシだというベターなだけというもの。ベストな投資法は結果論でしか分からない。なるべく間違いが少ない、手数料が取られないというような見方を突き詰めていくと、消去法的にインデックス投資ということになるのではないか」
山崎元氏
「もう少し小利口なことを言うと、投資計画を立てるときに、ベンチマークのインデックスのデータで計算するはず。計画と実行との整合性をとりやすい」
えんどうやすゆき氏
「今までの話で難しすぎてよくわからないというかたいらっしゃいますか?」(挙手なし)
(挙手はありませんでしたが、いきなりやや専門的な内容に踏み込んで始まったので、なかにはインデックス運用・アクティブ運用・ベンチマークといった用語からしてわからないかたもいるんじゃないかと、少々心配になりました。かなり詳しいかたが集まっているのは間違いないと思いますが…)
内藤忍氏
「もっと暴走してほしいかた?(笑)」(挙手あり)
カン・チュンド氏
「アクティブ運用会社やアクティブ投資家が真摯に運用することによって、逆にインデックス運用の正しくなるといういうか、インデックス投資が生き残っていくためには健全なアクティブ運用が必要だというのも重要ではないか」
内藤忍氏
「要するに全員がインデックス運用してしまったら…」
カン・チュンド氏
「それは世の中の終わりです」(会場笑い)
内藤忍氏
「要するにあまりメジャー過ぎないほうがいいということ?カンさんのお仕事が成り立つくらいがちょうどいいと」
カン・チュンド氏
「それくらいがちょうどいいです(笑)」
えんどうやすゆき氏
「それはどうなんだろうか。インデックス運用ばかりになるとお終いというかたもいるが、そうでもない気もするが」
カン・チュンド氏
「インデックス投資家がメジャーになってしまうと、個々の企業を正当に評価して株式を売買するというアクションがなくなってしまい、株式市場の健全性が損なわれてしまうと思う」
えんどうやすゆき氏
「適正価格が決まらないということ?」
カン・チュンド氏
「だからインデックス投資家はマイナーななかで生きていくということ。これは個人的に強く思っている」(会場笑い)
(水瀬コメント:いわゆる「効率市場のパラドックス」と言われています。うちのブログでも議論になったことがあります。その時の結論も、「インデックス投資はマイナーであるほうがよいが、過ぎてもいけない」でした。ご興味があるかたは、こちらのシリーズ記事をご参照ください)
山崎元氏
「たしかに、インデックス運用が増えすぎると価格が歪むということはある。とはいえ、世の中欲張りな人っていうのはあとからあとから供給されてくるから。社会には欲張りがたくさんいるということを信じることによってインデックス投資ができる」
イーノ・ジュンイチ氏
「投資交流会などで別のブロガーさんたちと話していると、別にアクティブ運用も嫌いなわけじゃないんですよね。ただ、なにが嫌かって手数料が高すぎるじゃんというところがみんな言っていること。ぜひ、アクティブ運用も広まってほしい、だけどあまり儲けすぎないくらいで」
内藤忍氏
「それは販売手数料?信託報酬?」
イーノ・ジュンイチ氏
「両方。でも最近はノーロードも増えているので、続いて信託報酬も下げてほしい」
山崎元氏
「たちが悪いのは信託報酬だ。例えば1.5%という長期金利よりも高い手数料をあの運用に対して払うということは、あまり経済合理的ではないし、気持ちのいいことではない。しかも、信託報酬のなかの半分くらいが販売会社にキックバックされ、それが残高がある限り続くわけだから、セールスマンが悪魔に変わってみんなに売りに来るわけだ。あの仕組も良くないし、もう少しアクティブ運用の信託報酬が下がりさえすれば、もっと多様な選択肢ができていいのになと思う。ビジネスとして自分で立ち上げたら面白いのではないかと思わなくもないが、どれだけの残高があれば運用会社がやっていけるのかを考えるとなかなか大変だ」
(水瀬コメント:投資信託の信託報酬は通常、販売会社・運用会社・信託銀行で山分けされます。対して販売手数料は、販売会社が全部取ります。個人的には、信託報酬は運用に対する対価なのだから、運用会社・信託銀行のみが受け取る形にして、販売手数料は今までどおり販売会社が受け取る形にしたほうが健全のような気がしています。もちろん、投資家は販売に関するフォローなどのサービスに対しては手数料を払うことを甘受する必要はあると思いますが、サービスがなければノーロードでいいでしょう)
イーノ・ジュンイチ氏
「聞くところによると、システム投資などが結構かかるので、あまり安すぎるとやっていけないと聞いたことはある。僕自身はインデックスにはこだわっていない。分かりやすくて信託報酬が安くて良さそうな運用をしているのがあればいいなと思っている。例えば、さわかみファンドなんかならいいんじゃないかなと思っている、世襲さえなければ」(会場大爆笑)
(水瀬コメント:カリスマ的ファンドマネージャーであった澤上篤人氏が、さわかみファンドの運用を金融業界の人でもなかった息子さんの澤上龍氏に引き継がせたことが一部で議論になっています。アクティブファンドはファンドマネージャーの交替というリスクも考慮しないといけないという好例だと思います。ちなみに僕が投資している日本株アクティブファンドのMHAM株式オープンも、知らないうちにファンドマネージャーが変わっていました。その後の運用成績がパッとしないのはそのせいかどうかは分かりませんが…泣)
山崎元氏
「10年先を見据えてとか?楽天証券の新年のイベントで澤上さんの後でしゃべることになっているので、ちょっと楽しみにしている」
えんどうやすゆき氏
「山崎ファンドがあればぜひ投資したい」
内藤忍氏
「楽天証券で山崎ファンドをやるというのはどうか?」
竹川美奈子氏
「わたしもいいんじゃないかと思うが」
山崎元氏
「楽天ってけっこう…」
内藤忍氏
「世襲しないでくださいね」(会場爆笑)
山崎元氏
「投資の回収を急ぐ体質があるから、なかなか大変かなあとか思わなくもない。ただ、残高が集まってしまいさえすれば左うちわでいい商売なんだけど」
竹川美奈子氏
「内藤さんと山崎さんに聞きたかったのが、アメリカにはインデックスの大手でバンガードとかバークレイズなどインデックスならここに任せておけばいいという運用会社があるが、日本でインデックス運用の雄は生まれるものなのか?」
内藤忍氏
「この前マネックスメールに書いたが、住信アセットマネジメント(STAM)という会社がインデックスファンドシリーズを出している。ノーロードで信託報酬も安くやっているので、あそこが頑張って頭ひとつ抜けてくると日本のバンガードになれるのではとたきつけたが、そうなることを期待している。大きいインデックスファンドが出てくればそこにどんどんお金が集まるという、いわゆるウィナー・テイク・オール的な発想がインデックスファンドの場合できると思う」
山崎元氏
「規模の利益が働くので、1社か2社になるかと。STAMも含めてどこの会社にもまだチャンスはあるのではないかと思う。例えばETFの品揃えを見ると、東証では金とか業種別とか、何も買う気がしないようなろくでもないものばかりで(会場拍手)、外国株のインデックス運用でローコストなものなど信託報酬の高い不真面目な商品と競合するようなものを出してきていない。必要なのは明らかだから、自分のビジネスを捨ててでもそこを取りに行くことができるという会社が出れば、トップを取れるのでは」
カン・チュンド氏
「日本のETFのカギを握っているのは、野村アセットマネジメントが日本人に合った、広範でニーズの高いETFを品揃えができるかどうかは非常に重要。アメリカでは、バークレイズが1990年代からモルガンスタンレーやウェルズファーゴがやっていたETFのビジネスを買収して、いちばん最初にマーケットを取りにいった。何故それができたかというと、他の運用会社はETFビジネスがそんなに大きくなるとは思っていなかったから。日本でも絶対大きなビジネスチャンスになる。どなたでもいいので早くしてください!」
議論はインデック投資の特徴から、効率市場のパラドックス、コスト負担の問題、山崎ファンドの提案、日本でインデックス運用の雄は生まれるかどうか、と広がりを見せて、ぶっちゃけトークも飛び出す中、だんだんとヒートアップしてきました。
(まさかの大激論の次回に続く…)
えんどうやすゆき氏
「今夜のルール。お酒を飲みながら気楽にやること。壇上からマイクで注文してください(笑)。会場の方も発言はいつでもOK、挙手を。出演者は結論を先に理由を後に。できれば本を読めば書いてあることではなく、ここでなければ聞けない話をお願いしたい。会場の皆さん、自分はインデックス投資家だと思うかたは挙手を(6~7割くらいが挙手)。インデックス投資はしていないが興味があるから来たというかた(2割くらいが挙手)。他の投資をやっているかた(1~2割くらいが挙手)。意外とインデックス投資家が多くて驚いた」
(水瀬コメント:こんなにインデックス投資家をこの目で見たのは初めて。なんだか感動的でした)
「それではまずはじめに、“インデックス投資が他の投資法とどう違うか”についてお聞きしたい」
カン・チュンド氏
「これは明朗だ。まずやることがない。金融商品を買ってしまうとあとは何もすることがない。非常に退屈かつシンプルな投資法。ドキドキやワクワクを求めるかたにとっては面白くない」
えんどう氏
「えーと…」
内藤忍氏
「お酒がないと盛り上がらないみたいで。頼んでたジントニックまだですかね(笑)」
イーノ・ジュンイチ氏
「だれかに補足してもらうといいのでは」
竹川美奈子氏
「山崎さんが既にホームページでアップしていたので聞きたい」
山崎元氏
「端的に言って、手数料が安いこと。はっきり言うと、アクティブ運用の手数料が高すぎる。(会場拍手)インデックス運用が特別に特に素晴らしいということはないが、アクティブ運用の手数料があまりにも高すぎる。ファンドマネージャーとして考えると、インデックス運用というのは手間がかかるものだが、アクティブ運用会社はあたかも自分達の運用がありがたいものであるかのように振る舞って金を取っている。その余計な金が節約できるのがいいところではないか」
(水瀬コメント:のっけから山崎節全開!今夜は楽しめそうです)
イーノ・ジュンイチ氏
「今、山崎さんが言った実はインデックス運用のほうが手間がかかるというのは?」
山崎元氏
「まず銘柄数がものすごく多い。それを発注する手間、価格を計算する手間、配当再投資の手間。アクティブ運用の場合は、銘柄数はファンドマネージャーが適当に決めることができる。そんなにたいした内容の運用をしているわけではないわけだが、アナリストだとか社長だとか専務だとか親会社から天下ってきたやつなんかを含めて食わしていかなければいけないし、そういうフィーがたっぷり乗っている。ただ、まじめなアクティブ運用、ローコストなアクティブファンドが出てくれば、一口馬主的に投資するのはいいのではないか」
(水瀬コメント:教科書的には、インデックスファンドは運用が機械的で手間がかからないからコストが安いという説明が多いですが、実際の運用ではそうでもないようです。意外と知られていない実情かもしれません。ただし、これはインデックスファンドの場合でありETFはまた別だと思われます)
えんどやすゆき氏
「今日は運用会社さんも来られていると思うが…」(会場笑い)
イーノ・ジュンイチ氏
「内藤さんも運用する側?」
内藤忍氏
「教育させていただく側。たしかに、インデックス投資は積極的なものというより、他よりもマシだというベターなだけというもの。ベストな投資法は結果論でしか分からない。なるべく間違いが少ない、手数料が取られないというような見方を突き詰めていくと、消去法的にインデックス投資ということになるのではないか」
山崎元氏
「もう少し小利口なことを言うと、投資計画を立てるときに、ベンチマークのインデックスのデータで計算するはず。計画と実行との整合性をとりやすい」
えんどうやすゆき氏
「今までの話で難しすぎてよくわからないというかたいらっしゃいますか?」(挙手なし)
(挙手はありませんでしたが、いきなりやや専門的な内容に踏み込んで始まったので、なかにはインデックス運用・アクティブ運用・ベンチマークといった用語からしてわからないかたもいるんじゃないかと、少々心配になりました。かなり詳しいかたが集まっているのは間違いないと思いますが…)
内藤忍氏
「もっと暴走してほしいかた?(笑)」(挙手あり)
カン・チュンド氏
「アクティブ運用会社やアクティブ投資家が真摯に運用することによって、逆にインデックス運用の正しくなるといういうか、インデックス投資が生き残っていくためには健全なアクティブ運用が必要だというのも重要ではないか」
内藤忍氏
「要するに全員がインデックス運用してしまったら…」
カン・チュンド氏
「それは世の中の終わりです」(会場笑い)
内藤忍氏
「要するにあまりメジャー過ぎないほうがいいということ?カンさんのお仕事が成り立つくらいがちょうどいいと」
カン・チュンド氏
「それくらいがちょうどいいです(笑)」
えんどうやすゆき氏
「それはどうなんだろうか。インデックス運用ばかりになるとお終いというかたもいるが、そうでもない気もするが」
カン・チュンド氏
「インデックス投資家がメジャーになってしまうと、個々の企業を正当に評価して株式を売買するというアクションがなくなってしまい、株式市場の健全性が損なわれてしまうと思う」
えんどうやすゆき氏
「適正価格が決まらないということ?」
カン・チュンド氏
「だからインデックス投資家はマイナーななかで生きていくということ。これは個人的に強く思っている」(会場笑い)
(水瀬コメント:いわゆる「効率市場のパラドックス」と言われています。うちのブログでも議論になったことがあります。その時の結論も、「インデックス投資はマイナーであるほうがよいが、過ぎてもいけない」でした。ご興味があるかたは、こちらのシリーズ記事をご参照ください)
山崎元氏
「たしかに、インデックス運用が増えすぎると価格が歪むということはある。とはいえ、世の中欲張りな人っていうのはあとからあとから供給されてくるから。社会には欲張りがたくさんいるということを信じることによってインデックス投資ができる」
イーノ・ジュンイチ氏
「投資交流会などで別のブロガーさんたちと話していると、別にアクティブ運用も嫌いなわけじゃないんですよね。ただ、なにが嫌かって手数料が高すぎるじゃんというところがみんな言っていること。ぜひ、アクティブ運用も広まってほしい、だけどあまり儲けすぎないくらいで」
内藤忍氏
「それは販売手数料?信託報酬?」
イーノ・ジュンイチ氏
「両方。でも最近はノーロードも増えているので、続いて信託報酬も下げてほしい」
山崎元氏
「たちが悪いのは信託報酬だ。例えば1.5%という長期金利よりも高い手数料をあの運用に対して払うということは、あまり経済合理的ではないし、気持ちのいいことではない。しかも、信託報酬のなかの半分くらいが販売会社にキックバックされ、それが残高がある限り続くわけだから、セールスマンが悪魔に変わってみんなに売りに来るわけだ。あの仕組も良くないし、もう少しアクティブ運用の信託報酬が下がりさえすれば、もっと多様な選択肢ができていいのになと思う。ビジネスとして自分で立ち上げたら面白いのではないかと思わなくもないが、どれだけの残高があれば運用会社がやっていけるのかを考えるとなかなか大変だ」
(水瀬コメント:投資信託の信託報酬は通常、販売会社・運用会社・信託銀行で山分けされます。対して販売手数料は、販売会社が全部取ります。個人的には、信託報酬は運用に対する対価なのだから、運用会社・信託銀行のみが受け取る形にして、販売手数料は今までどおり販売会社が受け取る形にしたほうが健全のような気がしています。もちろん、投資家は販売に関するフォローなどのサービスに対しては手数料を払うことを甘受する必要はあると思いますが、サービスがなければノーロードでいいでしょう)
イーノ・ジュンイチ氏
「聞くところによると、システム投資などが結構かかるので、あまり安すぎるとやっていけないと聞いたことはある。僕自身はインデックスにはこだわっていない。分かりやすくて信託報酬が安くて良さそうな運用をしているのがあればいいなと思っている。例えば、さわかみファンドなんかならいいんじゃないかなと思っている、世襲さえなければ」(会場大爆笑)
(水瀬コメント:カリスマ的ファンドマネージャーであった澤上篤人氏が、さわかみファンドの運用を金融業界の人でもなかった息子さんの澤上龍氏に引き継がせたことが一部で議論になっています。アクティブファンドはファンドマネージャーの交替というリスクも考慮しないといけないという好例だと思います。ちなみに僕が投資している日本株アクティブファンドのMHAM株式オープンも、知らないうちにファンドマネージャーが変わっていました。その後の運用成績がパッとしないのはそのせいかどうかは分かりませんが…泣)
山崎元氏
「10年先を見据えてとか?楽天証券の新年のイベントで澤上さんの後でしゃべることになっているので、ちょっと楽しみにしている」
えんどうやすゆき氏
「山崎ファンドがあればぜひ投資したい」
内藤忍氏
「楽天証券で山崎ファンドをやるというのはどうか?」
竹川美奈子氏
「わたしもいいんじゃないかと思うが」
山崎元氏
「楽天ってけっこう…」
内藤忍氏
「世襲しないでくださいね」(会場爆笑)
山崎元氏
「投資の回収を急ぐ体質があるから、なかなか大変かなあとか思わなくもない。ただ、残高が集まってしまいさえすれば左うちわでいい商売なんだけど」
竹川美奈子氏
「内藤さんと山崎さんに聞きたかったのが、アメリカにはインデックスの大手でバンガードとかバークレイズなどインデックスならここに任せておけばいいという運用会社があるが、日本でインデックス運用の雄は生まれるものなのか?」
内藤忍氏
「この前マネックスメールに書いたが、住信アセットマネジメント(STAM)という会社がインデックスファンドシリーズを出している。ノーロードで信託報酬も安くやっているので、あそこが頑張って頭ひとつ抜けてくると日本のバンガードになれるのではとたきつけたが、そうなることを期待している。大きいインデックスファンドが出てくればそこにどんどんお金が集まるという、いわゆるウィナー・テイク・オール的な発想がインデックスファンドの場合できると思う」
山崎元氏
「規模の利益が働くので、1社か2社になるかと。STAMも含めてどこの会社にもまだチャンスはあるのではないかと思う。例えばETFの品揃えを見ると、東証では金とか業種別とか、何も買う気がしないようなろくでもないものばかりで(会場拍手)、外国株のインデックス運用でローコストなものなど信託報酬の高い不真面目な商品と競合するようなものを出してきていない。必要なのは明らかだから、自分のビジネスを捨ててでもそこを取りに行くことができるという会社が出れば、トップを取れるのでは」
カン・チュンド氏
「日本のETFのカギを握っているのは、野村アセットマネジメントが日本人に合った、広範でニーズの高いETFを品揃えができるかどうかは非常に重要。アメリカでは、バークレイズが1990年代からモルガンスタンレーやウェルズファーゴがやっていたETFのビジネスを買収して、いちばん最初にマーケットを取りにいった。何故それができたかというと、他の運用会社はETFビジネスがそんなに大きくなるとは思っていなかったから。日本でも絶対大きなビジネスチャンスになる。どなたでもいいので早くしてください!」
議論はインデック投資の特徴から、効率市場のパラドックス、コスト負担の問題、山崎ファンドの提案、日本でインデックス運用の雄は生まれるかどうか、と広がりを見せて、ぶっちゃけトークも飛び出す中、だんだんとヒートアップしてきました。
(まさかの大激論の次回に続く…)
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